研究室運営の方針

研究室運営の基本方針

前任校の東京大学に比べると、早稲田大学における一研究室当たりの学生の数は多いです。これは一般的には、学生一人ひとりに対して教員の目が届きにくいというデメリットであるように考えられがちですが、決してデメリットだけではなくメリットも多いと思っています。 それは、「多くの先輩・同級生・後輩の研究に身近で接し切磋琢磨をしてお互いを高めることが可能である」ことです。先輩や後輩(そして教員やスタッフ)の良いところは、自分でも真似をし、悪いところは、自分が同じようにしないようにするように心がけるだけで、とても多くの勉強になります(他のメンバーの悪い部分に関しては、指摘してあげるのが本当は良いと思っています)。このような環境で、研究だけではなく、社会に出た後に役立つようなことに関しても積極的に指導できればよいなと考えています。

ある程度の規模となった当研究室の方針としては、研究プロジェクト(テーマ)の大きなくくりごとに、学生のリーダーを決めたいと思います(基本的には最上級生)。学生リーダに対しては、教員と共に指導を行う訓練をOJT(On the Job Training)として行いたいと思います。万が一、研究がうまくいかなかった場合でも、指導を行った上級生に責任を押し付けるようなことはせずに、(あたりまえのことですが、)教員が責任を持ちます。 このOJTを通して、指導を行う経験をつけて欲しいと思います。皆さんも経験したことがあると思いますが、教えることによって自ら学ぶこともたくさんあります。

以下、研究室運営の基本方針になります。私の未熟さゆえに、実現できないことも出てくるかもしれませんが、出来る限りこの基本方針に沿った研究室運営ができるように、努力したいと思います。

研究室は所属するスタッフや学生全員のものです

研究室は、教員のものではなく、教員と学生、その他スタッフ全員で作り上げていくものであると考えています。そのため、研究室の運営に関して学生やスタッフの側からも積極的に意見を上げて欲しいと思っています。幸い、当研究室は、2014年4月より新しく立ち上がった研究室です。そのため、これから一から作り上げていく必要があります。 みなさんの研究環境・学生生活がよりよいものとなるように、他との折衝や予算の獲得に関しては、教員が責任を持って行いたいと思います。

風通しの良い研究室を目指します

教員が100%正しいわけではないことを肝に銘じておいてください。 他人の良い点は真似する 悪い点は反面教師として考えるようにしてください。本当の仲間であれば、悪いことを教えてあげるということも重要なことであるのではないかと思います。また、他人が困っているときには率先して手を差し伸べてあげてください。困ったことがあった場合、または、困ったことが起きそうな場合には、自分で抱え込まずにぜひ早いうちに教員に相談をしてもらえると有難いです。

学生の自主性を最大限尊重します

当研究室では、学生の自主性を尊重します。広い意味でバイオインフォマティクス、または、バイオインフォマティクス研究に寄与する(例えば、ビッグデータ解析などの一般的な汎用技術等)の内容であれば、学生自身で提案する・やってみたい研究テーマを自身で選んで主体的に行うことを推奨します。研究テーマは、教員の専門でない分野でも構いません(その場合、教員も学生と一緒に勉強しながら指導を行うように努力します)。

学生育成の目標

以下が達成できるように研究指導を行う予定です。

  • 学部の学生:国内学会で口頭発表を1件以上行う(学部生でも、やる気と能力のある方は、在籍中に原著論文を執筆できるような指導をします。)
  • 修士課程の学生:原著論文を国際誌に投稿・掲載する、または、国際学会で口頭発表を行う。※原著論文とはオリジナルの研究結果を含む論文のことです。レビュー論文と区別するために、このような呼び方をします。
  • 博士課程の学生:在籍中に3本程度(年1報)の原著論文の執筆を行う。学振DCに応募。

口頭発表、論文執筆、いずれの場合も、最初の1回目(1本目)に関しては、研究倫理も含めたノウハウを懇切丁寧に指導します。2回目以降は、1回目の教訓を生かして、ぜひ学生自らが中心となって、論文執筆、学会発表を行ってください。学会で発表する&論文を書くということは、様々な能力が必要であり、とても勉強になります。ここで身に着けたスキルは、研究者でない職業に就く場合でも役立つはずです。研究指導を通して、社会人一般に対して役立つスキル・能力を身につけて頂きます。

他の機関での研究や研修・インターンシップを推奨します

学生の間は、様々な経験を積む良い機会です。学生の皆さんには、留学・インターンシップなど、いろいろな経験をしてもらいたいと思っております。

例えば,産総研と早稲田大学の合同のラボである,「産総研ー早大 生体システムビッグデータ解析 オープンイノベーションラボラトリ(CBBD-OIL)」においてRAあるいは技術研修を行うことは可能です.

ポスドク・研究員は独立して研究を行うことを推奨します

ポスドクとして在籍される場合には、基本的に独立して研究を行ってもらいます。教員は上司ではなく、共同研究者の一人だと思って下さい。科研費等の研究費の獲得(自身が代表者が望ましい)は積極的に行ってください。また、他の研究機関との共同研究も歓迎します。さらに、大きな負担にならない範囲内で、教育実績(学生の研究指導・年数回程度の授業や演習)を積んでもらいたいと思っております。基本的に、雑用はなるべく最小限にして、研究に専念できる環境を作りたいと思います。また、任期が複数年である場合でも、任期途中で良いポジションが見つかった際には、こちら側に気を遣うことなく、異動しもらいたいと思っています(任期中にさらに良いポジションに応募を行うことを妨げません。希望があれば、推薦もさせていただきます)。アカデミックの世界では、昨今、ポスト不足が叫ばれていますが、教員もできる限り、ポスドクの皆さまが研究者として成功できるように、ポジション探しなど協力をしたいと思います。